ネガフィルムのデジタル化について
たまには、機材の話題です。
今では、ほとんどの撮影でデジタルカメラを使用しており、銀塩カメラは、年に1~2度くらいの使用にとどまっています。というのも、フィルム代、現像代がかかるのはまだしも、現像の出来上がりに時間がかかるのと、フィルムからパソコンへの取り入れの手間がかなり必要であったからです。
それと、特にネガフィルムをスキャナーでデジタル化した場合、出来上がりの色合いに問題があることが多く、ネガフィルムはめったに使わなくなっていました。
ところが、先日、久々にネガフィルムを現像に出して驚いたのですが、なんと15分で現像ができるのです。あとは取り込み方法さえ改善できたら、ネガフィルム使えるよ。~(基本、暇だし)~ と思いました。
今まで、ネガフィルムのデジタル化は、フラットスキャナー(Epson GT-X820)を使って、「等倍・4800dpi」でスキャニングすることにしていました。フィルムは6枚単位のストリップフィルムをそのままセットすることができるのですが、6枚をスキャンするのに、15~20分くらいは必要でした。
『スキャナ Epson GT-X820』
今回、デジタルカメラにアダプタをつけて撮影することを試みました。
スライドコピーアダプタ-(Nikon ES-1)は、以前から持っていたのですが、ポジのスライドファイルマウント専用であり、構造上、6枚単位のストリップフィルムをそのままセットすることが出来ませんでした。
『スライドコピーアダプタ- Nikon ES-1』
そこで、ネットの自作例なども参考にして、ネガストリップフィルムホルダーを作成することにしました。
『ネガストリップフィルムホルダー 自作』
Ⅰ.ネガストリップフィルムホルダー作成方法
【材料】
A4の硬質カードケース(100均にて)
乳白色のアクリル板(厚さ1㎜、500円くらい)
アクリル用接着剤(500円くらい)
【硬質カードケースの加工】
カードケースの端は、ただ2枚くっついているのではなく、1mm程度のスペーサーを挟んで接着されています。その部分をホルダーの「底」として使えばフィルムを真っ直ぐに保持できます。カッターを使用して、フィルム面が見えるように穴あけ加工しました。
『ネガストリップフィルムホルダー加工部分』
【アクリル板の加工】
アクリル板を二枚張合わせ、その間をカードケースがくぐるようにすればよいので、アクリル板の一枚にフィルム1枚(36㎜×24㎜ +α分)の穴をカッターで切り取りました。アクリルは大変硬いので、何度カッターで線入れをして、最後は、ラジオペンチで摘まんで切り出しました。
アクリル板の張り合わせは、上下に細く切り出したアクリル板を2枚重ね、それを接着剤で張り合わせました。(従って厚みが4㎜になりES-1にセットできるぎりぎりのサイズになりました)
アクリル専用接着剤は非常に強力で、一旦接着されると、ずらすことは、まったく不可能になります。この接着位置によって、スライドコピーアダプタ-にセットされるネガの位置が決まりますので慎重に加工しました。
Ⅱ.ネガフィルムデジタル化の方法
使用する機材は、三脚、D810(デジタルカメラ)、AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G (マクロレンズ)、ES-1(スライドコピーアダプタ-)、自作ネガストリップフィルムホルダーです。
『セッティグの形』
光源はスタンドにつけた昼光色LED球(60wクラス・ES-1から約10センチの距離)、絞りはf/8.0 、ISO100で絞り優先で撮影していきます。シャッタースピードは、だいたい1/30~1/8くらいになります。
D810の分解能は、5180dpi (7360×4912 )ですから、フラットスキャナーの4800 dpi以上の詳細情報のスキャンが可能です。
Ⅲ.スキャナー(GT-X820) とスライドコピーアダプタ-(ES-1)の比較
【作業時間の問題】
両方式ともネガフィルム6枚単位で処理しますが、GT-X820が6枚のフィルムをスキャンするのに15分以上かかるのに対して、ES-1は、1枚のスキャンがシャッターを押した瞬間に終了するため、圧倒的にES-1の方が早くて簡単です。
【スキャンの正確性の問題】
ES-1を使ってみて感じた事ですが、こちらのほうがきれいにスキャンできます。GT-X820のほうは、微妙な振動が影響するのか、4800dpiも分解能はないと感じます。(GT-X820の最大分解能は6400 dpi)
【ゴミ付着の問題】
どちらも、セット前に、ブロワーでゴミを吹き飛ばしてからセットしていますが、ES-1のほうが、明らかにゴミ付着が少ないです。
【色合いの問題】
GT-X820はスキャナーに付属しているEPSON Scanというソフトのなかで、ネガポジ変換をおこなっているのですが、出来上がりの色合いがあまりよくありません。ES-1は、ネガポジ変換をどうやったらきれいに出来上がるかがポイントだったのですが、ネットや書籍を参考にして、ようやく、まあ満足できる方法にたどり着きました。
Ⅳ. ES-1によるネガポジ変換の方法
【ポイントはホワイトバランス】
ネガフィルムを現像すると、オレンジ色のベース色のなかに画像があります。このベース色は写真の範囲外ですから、スキャンする際に除いて処理するのが普通だと思っていましたが、なんと、そのオレンジ色のベース色を含めてスキャンし、そのポイントでホワイトバランスをとるというのです。・・・なるほど
『撮影されたネガ』
【Photoshop による画像処理】
ⅰ.画像ソフトPhotoshopの編集コマンドにある「階調の反転」を使ってネガポジ反転をおこないます。
ⅱ.オレンジ色のベース色は、ネガポジ反転によって、薄い水色に変ります。
ⅲ.この薄い水色の部分をホワイトバランスのポイントにします。
ⅳ.次にPhotoshopの3つの自動補正(明度、コントラスト、彩度)を実行したうえで、Tiffファイル保存します。
ⅴ.ここまでくると、デジタルカメラのRAWファイルと同様になりますので、Lightroomで読み込んで、微修正を加えると完成になります。
ⅵ.この方法でデジタル化した場合、なぜか少し青色系にふられるように思っています。従ってLightroomの微修正は、色温度を上げて赤みを増やすといった補正が主となります。
『ネガ』Photoshopによる上記処理後の写真
Nikon F Micro-Nikkor 105mm f/2.8S
Fuji Superia PREMIUM 400
(105mm F5.6 1/1000秒 ISO400)
『デジタル』
Nikon D810 Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
(60mm F2.8 1/1000秒 ISO100)
デジタル写真のほうが、「記憶色」に近いですね
Ⅴ.撮影情報の記録方法
銀塩カメラで撮影した場合、Exif記録機能がないため、レンズ情報、絞り、シャッター速度、被写体の情報をメモっておかないと、デジタルカメラと同等にはなりません。
私の場合は、スマホの音声録音機能で情報を記録することにしました。いろいろ試みましたがこれが一番簡単で正確でした。
【Exif情報の変更】
D810を使ってデジタル化しますので、Exif情報は、スキャンした時の情報になっています。これを銀塩カメラでの撮影情報に変えるには、Exiftoolというフリーソフトを使います。一旦、元データであるTIFFファイルデータを変更してしまえば、あとは、デジタルカメラで撮った写真と全く同等の扱いが可能になります。
『Exiftool』
Ⅵ.銀塩写真は奥が深い
銀塩写真は、撮影枚数が限られているっていうことが、今ではかえって魅力に感じます。デジタルカメラだと一回に数百枚撮る事がざらにありますが、一回に撮れる枚数が最大でも36枚しかないということ。それだけ被写体を選ぶし真剣にもなり、撮った瞬間の記憶が、後になっても鮮明に残る事が多いのです。
出来上がりの綺麗さは、デジタルカメラには、まず勝てていないのですが、時々、露出・現像方法の違いからか、味のある写真が出来上がることがあり、こういう時には感動がありますね。
フィルムから写真を作り上げるまでの過程は、銀塩写真の時代から、長い歴史があって、フィルム会社やカメラ会社には、長年の蓄積があるのだと思います。デジタルカメラでも「記憶色」を再現するために、撮影画像に対してコントラスト・トーン・色合いなど調整しており、これらは自分でも調整は可能なのですが、明るさ、コントラストの調整は比較的わかりやすいですが、色合いは調整範囲が広すぎてどこから手を付けたらよいのか分からないこともあります。色合いの調整はつくづく難しく感じています。
これから、ネガフィルムを使った写真もアップ枚数が増加するんじゃないでしょうかねぇ
~でわでわ
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コメント
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こんにちは。AMAZONで速攻でES-1が届きました。接写リングもPN-11という、三脚座つきのを押入れから引っ張り出しました。
セットしてみると、フォーカスエイド・開放絞りが動作します。
昔、EOS5で撮影したスライドも出てきました。20年以上前のです。
うまく、スキャンできたら報告します。
お世話になりました。
投稿: ★パリンドローム | 2018年9月16日 (日) 17時57分
カメラはD'750、レンズはマイクロニッコール55mmF3.5です。
投稿: ★パリンドローム | 2018年9月16日 (日) 18時01分
★パリンドロームさん、コメントありがとうございます~
マイクロニッコール55mmF3.5の場合は、PK-13の中間リングをかませると
ピント合いますよ~・・・前やったことありました。
投稿: 写真道楽人 | 2018年9月16日 (日) 19時46分
PN-11でも大丈夫でしょうね
投稿: 写真道楽人 | 2018年9月16日 (日) 19時47分
PK-13が手持ちになかったんですよ。PN-11は単体だし、説明書にもあったし、開放絞りカプラーも有効だし、フォーカスエイド効く師し、良かったです。
露出はマニュアルになりますが、ヒストグラムで簡単です。
あとは、D750の解像度で満足できるか・・・
投稿: ★パリンドローム | 2018年9月16日 (日) 21時18分